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 【花主】「あそこでのの字を書いてるのが自分の恋人です」・2

* いじける恋人に10のお題 * お題配布元 >> Abandon様


すみません、おさまりきりませんでしたorz
なので、更に二つに分けてこちらは2です。
無くてもいいシチュの気がします。つか、いらんかもマジで。
しかしどこまではしょって書いたものか……やっぱりWebのSSって難しい。


3は明日UPします!


相変わらずの花村視点です。
菜々子可愛いよ菜々子vv



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*****

午後の授業中も陽介の頭の中は孝介の待ち受けのことで頭がいっぱいだった。そうでなくてもイライラするのに、目の前を塞ぐすっきりとした孝介の背中を見ていると、どんどん気分が悪くなってくる。こんな状態何日も続けたら間違いなく体調を崩すに違いない。そんななんともいえない気持ちのままジリジリと授業を受けていた陽介は、終業のチャイムが鳴ると同時に一も二もなく孝介に声をかけた。

「なぁ、今日お前んチ行っていいか?」

そんな唐突な陽介の誘いに、孝介は特に疑問も感じずあっさりと許可を出す。更に、

「何ならついでに夕飯食ってけよ」

普段の陽介ならもろ手を上げて喜ぶお誘い付きだ。けれど、さすがに今の陽介にはそれを喜ぶ余裕がない。僅かに笑みを浮かべて『頼むわ』と返事をすると、あれこれと夕飯の献立を考え始めた孝介の横で、陽介は小さくため息をついた。


*


堂島家に行く道すがら、陽介は何度も待ち受けのことを切り出そうとした。けれど、どんな答えがかえってくるかを想像すると口が氷つく。そもそもその女子が孝介とどんな関係であるにせよ、明らかに他の女子達と扱いが違うことだけは間違いない。まあ、唯一の希望的観測として『芸能人』と言うものもあるが。

(それだけはぜってーない)

つまりはどんな答えがかえってきたとしても、自分に不利な状況には変わりない。だったら聞かなくてもいいんじゃないかなどと及び腰になるのもしかたない事だ。
けれど、ここで聞かなかったら聞きだすまでほぼ毎日千枝たちに答えをせびられる事だろう。それもまた地獄。

「ただいまー」
「かえってきた! おかえりお兄ちゃん!」

などとグダグダと悩んでいるうちにあっさりと堂島家に到着してしまった。

「あ、よーすけお兄ちゃんも! いらっしゃい」
「こんにちは、菜々子ちゃん」

居間に座っていた菜々子が僅かに腰を浮かせて二人を出迎える。その声に答えながら陽介は腹を決めた。

(こうなったら、部屋で腰を据えてから……)

いつものように自分の部屋へ行くべく階段の方へ身体の向きを変えかけた孝介が、ふと立ち止まった。決意を新たにしていて前をきちんとみていなかった陽介は、危うくそのままぶつかりそうになる。何とか踏みとどまって孝介が見ている方へと視線をむけると、居間のテーブルいっぱいに菜々子の教科書が散らばっているのが見えた。

「菜々子どうしたんだそれ」
「しゅくだい、いっぱい出た」

さっき陽介たちを向かえた声とは裏腹な、泣きそうな声で菜々子が答える。ざっと目をやっただけでも漢字のプリントと算数の計算プリントが合わせて五枚。しかも裏表だ。

「うはー、こりゃすげぇ」

側に寄って手に取った陽介がその量に驚きの声をあげる。長期休暇の宿題でも通りそうなこれはちょっとありえないだろう。

「他には?」
「あと本読み」

本読みとは教科書の単元を親に読み聞かせ本読み表に判を貰うというもの。これはまあどうにかなるとは思うが、問題はやはりプリントだろう。何とか自分ひとりで頑張ろうと手をつけ始めたんだろうが、あまりのことに菜々子も半泣きだ。その頭を撫でながら、孝介が隣に腰をおろす。

「よっし、じゃあ一緒にやろうか」
「ほんと?!」

実際問題を解くのは菜々子だが、やはり孝介が側にいてくれるのとそう出ないのではまったく違う。嬉しそうな笑顔をむける菜々子に同じく笑顔で答えながら、孝介は机の上をざっと片付け、自分の鞄から教科書とノートを取り出す。

「ほら、花村も」
「お? おお」

言われるまま菜々子を挟んで反対側に腰をおろすと、陽介も自分の鞄を開けた。

「お兄ちゃんたちもしゅくだいあるの?」
「あるぞー。頑張って終わらせような?」
「うん! 菜々子がんばる! お兄ちゃんたちもがんばってね!」

菜々子から可愛らしく激励を貰ってしまい、さすがに待ち受けどころじゃなくなったなと、陽介はほっとしたようなガッカリしたような気分で僅かに苦笑を浮かべながら、それでも元気良く『おう!』と返事をした。


*


大方の予想通り、孝介は早々に自分の分は ― 英語の訳をほぼ辞書知らずで仕上げるとか色々離れ技満載で ― 仕上げてしまい、本当に頑張らなければいけないのは菜々子と陽介だ。しかし、午後の授業すらまともに受けられなかった陽介が、孝介と顔をつき合わせながらの宿題が捗るはずもなく。

「おわった!」
「よく頑張ったな、菜々子」

と、結局陽介より菜々子の方が先に宿題が終わる有様。まったくもって不甲斐ない。

「俺の負け。菜々子ちゃんえらいなー」
「えへへー」

孝介に頭を撫でられ嬉しそうな笑顔を向ける菜々子を色々な意味で羨ましくみつめる。そんな陽介見て菜々子は笑顔を引っ込め、心配そうに側へ寄ってきた。

「よーすけお兄ちゃんもがんばればすぐおわるよ。菜々子にお手伝いできることある?」
「ありがとう菜々子ちゃん。じゃあ、そこにあるノートとってくれる?」
「これ? でもこれ……」

テーブルの反対端に揃えて置かれているノートを指し示した陽介に、菜々子は困惑顔だ。それでも頼まれたからと伸ばした菜々子の手から孝介がノートを取り上げる。

「自分でやれ自分で」
「いいじゃん、三分の二は自分でやったし! 俺すげー頑張ったと思わねぇ?」

改めて自分のノートを見てその進み具合にちょっと驚く。捗ってないつもりだったが待ち受けのことから思考を反らしたのが功を奏していたのかもしれない。まあ、正答率の方はなんとも言えないが。

「後三分の一なんだから最後まで頑張れよ」
「やだ、もう俺限界。腹減った……」

思わず口から出た言葉で身体も思い出したのか、陽介の腹がぐうと音を立てる。とたんはっていた気も緩んでへなへなとノートに突っ伏した。

「花村、お前な……」
「お兄ちゃん、菜々子もおなかすいた」
「え? あ!」

逃げ口上だと思った陽介の台詞に菜々子が相槌を打ったことで、孝介は初めて時計に目をやる。今日はあまり天気が良くなかった為、部屋の電気をつけていたせいで、あたりが暗くなりかけていた事に気づくのが遅れたのだ。

「ごめんごめん、もうこんな時間だもんな。ご飯つくろっか」
「うん! 菜々子も手伝う!」
「花村は出来上がるまでに終わらせろよ。じゃないと飯抜きだからな」
「へいへい、イッテーッ!!」

突っ伏したまま手を伸ばす陽介の頭が先回りして奪われたノートで叩かれる。わざと大げさに痛がって見せると、頭上で孝介が大きなため息をついた。

「しょうがないな。菜々子、こっちはいいから陽介お兄ちゃんを手伝ってやってくれ」
「はーい」

さっき叩いた頭に先ほどのノートを乗せると、孝介は夕飯を作るべく台所に歩を進める。許可を出された陽介は、早速そのノートを開いて自分のノートと並べた。これさえあれば百人力。明日の授業はばっちりだ。

「菜々子ちゃん、ありがとな」

ホクホクとノートを写し始めた陽介の腰をおろし、楽しそうにこちらを眺めていた菜々子に陽介がこっそりとお礼を言うと、菜々子は驚いて首をかしげた。

「菜々子、何もしてないよ?」
「そんなことないって。菜々子ちゃんのおかげで無事宿題終わりそうだ。もうちょっとだからそこで応援よろしくな」
「うん!」

ニコニコと可愛らしい笑顔をむける菜々子に、昼から続く嫌な気分が晴れて行く様で、陽介はちょっと嬉しくなる。が、それを見計らったかのように、台所で孝介の携帯が鳴りはじめた。

「はい、あ、叔父さん? うん、もう家。……うん、わかった。仕事頑張って」
「今の、おとうさん?」

短い会話をして電話を切ると、菜々子が察したように孝介に問いかけた。

「うん、今日遅くなるから先にごはん食べてろって。……って、あ、しまった!」
「どうしたの?」

孝介の台詞にガッカリしかけた菜々子が、続く大きな声にびっくりして顔を上げる。

「醤油、切れてたから買って帰ろうと思って忘れてた。悪い花村、菜々子とちょっと留守番頼む」

そう言い遺すと陽介の返事を待たずに孝介は出かけてしまった。おそらく行き先は商店街だろうから、そう時間もかからず戻ってくるだろう。その間にさっさと宿題を終わらせようと思うが、どうにもさっきのショックから立ち直れない。

「心臓に悪いってんだよ」

知らずまた広げたノートに突っ伏して、シャープペンを持っていたはずの右手は畳の上に落とされる。

「よーすけお兄ちゃん?」

意味もなくぐるぐると畳に指先をこすり付けていた陽介を覗きこんできた幼い顔を見て、陽介は今が千載一遇のチャンスじゃないかと思い当たった。とたんガバリと身体を起こすと、菜々子と向かい合って正座をする。

「菜々子ちゃん、教えて欲しいことがあるんだけど!」
「な、なに?」

あまりの陽介の勢いに、菜々子は僅かに後ずさった。


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