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** チチもげ魔再来日 **


 どうしていつもコイツはいきなり現れるんだ? 確か初めて会ったときも、いきなり現れて本の在り処をはかない俺を、天井に縛り付けそのままナンパに行きやがったよな? で、戦ってみればとんでもないし。
 イギリスで会った時はもしかしてすごく良いヤツなんじゃと一瞬思ったが、良く考えればこの時もそこら中の女を触りまくってたんだよな。

 「なーにが、ラガーッツァやバンビーナが離してくれないだ」
 「はっはっは。しょうがないだろう? 本当のことなんだから」
 「ここに来るまでもその辺の女のチチもんでたんじゃねーだろーな」
 「――もんでました」

 あー殴ったよ、当然だ、殴られて。懲りてねーっつーか、なんつーか! 女と見ればチチだの尻だの触りやがって! しかもその触られた女もまた嫌がってないってのは…やっぱり本人が言う通り『スタア』だからなんだろうか?

 「だいたいおいて、何でおまえが日本にいるんだ?! それも俺の家に!」
 「いーじゃないか。私と清麿の仲だろう?」
 「仲ってなんだ、仲って!」
 「仲って言うのはだな…」

 そう言いながら、そいつは俺との距離を詰めてきた。そして、その手をすっと伸ばして…――。

 「――って! 俺のチチをもんでどうする!?」
 「あ? あはははははは」

 笑ってごまかすんじゃねー!

 「この乳酸菌飲料が一番身体に良いんだぞー」
 「ウヌウ…なるほど。ではキャンチョメ、それを私にも分けてくれぬか」
 「やだよーん」
 「そこ! 二人で乳酸菌飲料を飲んで和んでんじゃねー!」

 いやに静かだと思って見てみれば、ガッシュとキャンチョメが膝突き合わせて乳酸菌飲料品評会なんか開いてやがる…。あ――…くらくらしてきた…。

 「よいではないか、せっかく友達が遊びにきてくれたのだから」
 「友達じゃねーだろ!」

 くそう…血管切れそうだ…。

 「まあまあ、こうしてガッシュとキャンチョメも楽しんでる事だし、われわれも楽しもうじゃないか」

 楽しむ? この状況を? どうやって楽しめば良いーっつーんだよ!
 って、いくら俺が騒いで暖簾に腕押し馬耳東風…。ここはひとまず落ち着いて…。

 「で? なにしに日本に?」
 「何って、いやだなー清麿に会いにに決まってるじゃないか」

 は? 俺に会いに? 忙しいスケジュールの合間をぬって?

 「……俺に会いにって、なんか用でもあるのか?」
 「ああ、もちろんだとも」
 「だったら、その用ってのを…」
 「あれ? フォルゴレさん?」

 水野?! なんだってこんな時に…。つーか、どうしてうちはこう、勝手に色んな人間がヅカヅカ入って来るんだよ…。

 「鈴芽だったね。その後お尻は大丈夫かい?」
 「ええ、おかげさまですっかり。フォルゴレさんはどうしてここに?」
 「ちょっと清麿に用事があってね。せっかく会えたのに残念だが、今日のところは私に清麿を譲ってくれないか?」
 「良いですよ。私はいつでも高嶺くんに会えるし…ね」

 オイ、本人無視して勝手に話をすすめるなよ。しかも、水野のヤツにこやかに俺に同意求めてるし。

 「ありがとう。さすが清麿のガールフレンドは良い子だね」
 「いやだ、ガールフレンドなんて、そんな…」
 「おお、スズメが赤くなっておる」

 はー……いったい何なんだよこいつらは…―――。

 「そうだ鈴芽。清麿の代わりにキャンチョメに日本を案内してやってくれないか? ガッシュも一緒に」
 「え? ええ、良いですけど…」
 「よかったな、キャンチョメ。彼女が日本の良いところを教えてくれるそうだ」
 「え、でも、フォルゴレは? 僕、フォルゴレと一緒が良いよ」

 そうだ! 水野の案内って言うのはすごーく不安だが、この際こいつらを連れてってくれるなら何でもいい! 頼む水野! そのままキャンチョメ共々フォルゴレも連れてってくれ!

 「清麿との用事が済んだら私もすぐに駆けつける。その間だけ、彼女と一緒に遊んでるんだ。良いな、キャンチョメ」

 何やら、フォルゴレのヤツいつになく真面目なんだが…。俺に用って言うのはそんなに大事なことなのか? 確かにスタアなんだからそうそう簡単に日本にきてたら仕事にならないだろうし…。

 「キャンチョメくん…だっけ? フォルゴレさんもそう言ってるし、一緒に行こう?」
 「ウヌ、キャンチョメにブリバーガーを食べさせてやるのだ!」
 「ブリバーガー?! それってうまいのか?」

 相変わらずの食欲魔人ぶりだな、オイ。ブリバーガーと聞いて、キャンチョメの目が輝いてやがる…。魔物の子供ってみんなこうなのか?

 「よかったな。キャンチョメ。では、鈴芽の言うことを良く聞くんだぞ?」
 「わかった! フォルゴレも早く来てね」
 「ああ、わかった」

 楽しげに連れ立って部屋を出て行く3人を見送ると、フォルゴレは改めて俺に向き直った。その雰囲気に何となくごくりと唾を飲む。

 「清麿」
 「なんだ? もしかして…また魔物が?!」
 「日本の家というのはとても良いな」
 「は?!」

 なんだ? 用事って深刻なことじゃないのか? いきなり日本の家についてなんて何故語る?!

 「ベッドルームを別にしたりしないのだな」
 「悪かったな、狭くて」
 「いやいや、むしろ大歓迎だ。何しろ、私の用事というのはこういうことだからな――」

 そう言ってフォルゴレが俺の手を取り立ち上がらせると、そのままベッドに押し付けた。

 「ちょ、ちょっと待て! なんだ?! なんなんだよ?!」
 「ほーら、簡単に事を運ぶ事ができる。ブラボー日本家屋」
 「フォ…フォルゴレ?!」

 パニックを起こしている俺に構うことなく、Tシャツの隙間から忍び込む手はいったいなんだ?!

 「なにしやがる! やめろ、フォルゴレ! 俺にチチはないぞ!」
 「ふ…そんなことはどうでも良いんだよ。問題は…」

 意思を持って俺の身体を這いまわるこの手をどうにかしないと…。一生懸命身体をよじって逃げようとするが、その度に追いかけられ逃げ道を塞がれる。

 「問題は、いかに清麿を私のものにするかって事さ」

 ――― ヤーメーローッ!!!!

◆◇◆

 身体がビクッとなり、目が覚めた。今のは…ゆ…夢?!
 確か、いきなり現れたフォルゴレに押し倒されて…あーんなことや、こーんなこと…や…やられ放題…――。

 「スンゲー怖かった…一体なんだってこんな夢…」

 自分で自分の身体を抱きしめる。うわ全身寝汗でびっしょりだ。シャワーでも浴びてすっきりした方がいいな。そう思い、ベッドから立ち上がる。

 「なんだ? こんなところにCD? これは!!」

 床に転がっていたCDが目に入り拾ってみれば、以前フォルゴレが来た時に置いていったCDだった。中身はコンポにセットされているらしい。

 「ガッシュの仕業だな…。そうか、この曲がかかっていたせいであんな夢を…――」

 二度と俺の寝てる時に聞くんじゃないと言っておかないとな。もうあんな夢こりごりだ…。

 「あんな夢とはどんな夢だ?」
 「あー、フォルゴレが俺を押し倒し…――って! フォルゴレ?!」
 「やあ、清麿。久しぶりだな。元気だったか?」

 部屋の扉を開け、放心状態の俺に向かってにこやかに挨拶かましてるコイツは確かにパルコ・フォルゴレ。

 ―― さっきの夢、ま…正夢…だったら―――怖すぎるっ!



END

某友人の誕生日なのを良いことに、萌えのままに書いたフォル清 (爆)
需要があるかどうかはかなり謎なので、とりあえずギャグチックにまとめてみました (笑)
いや、贈った友人が喜んでくれればそれで良いんですけどね。
私自身がやけに楽しく書いちゃいました (笑)
いいよねーフォルゴレ×清麿vv

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